2011年12月26日

タクシーの消えた休日

数年前の秋に沖縄へ旅をした際、名護から高速バスを使って
コザ(沖縄市)へ移動したことがある。

バス代は少々かかるが一般道よりは早く着くし停まるバス停も
少ないので車内でゆったりと過ごすことができるのだ。
短期間の旅にはもってこいである。

しかし、いざ目的地の停車場「沖縄南I・C」に着いてみると、
ホテルがあるメインストリートからは少し程離れていた。

地図を見るとここからホテルまではざっと2〜3キロ。
歩けない距離ではない。でも、10キロは軽く超えているで
あろう荷物を持って移動するのは少々しんどい。

しかも10月の沖縄。
刺すような日差しと25度を超える気温。
すぐに決意する。

ヨシ。ここはタクシーで移動しよう!

「歩ける距離は原則歩く」が貧乏旅行の鉄則だったが
暑さにはかなわない。

早速、ビュンビュン車の走る三車線の幹線道路へ目を向ける。
これだけ車が走っていればタクシーの1台や2台すぐにつかまるだろう。
ここはサトウキビ畑が広がっている田舎道ではないのだし。

がしかし…。
10分経っても15分経ってもタクシーらしき車は通らない。
仕方ないので少し歩いて場所を移動してみたが、それでも
タクシーが全然見当たらない。

リゾートエリアの西海岸や那覇市内では30秒に1回くらいは
タクシーを見かけた気がするが、コザは観光地ではないからなのか?

それとも日曜日の午前中というのがまずかったのか…?と
あれこれ考えてみても全然つかまらない。

いっそのこと電話で呼ぶか。とも考えたが、
たかが2〜3キロの移動でタクシーを呼び出すのもなんだか忍びない…。

悶々と考えているうちに、首筋や頭にびっしりと汗が流れてきた。
日陰を探しつつとりあえず10キロ超の荷物を抱えてホテルの方向へ
歩きだす。

そういえばさっきから人が全然歩いていない…。
沖縄人は朝が弱いのか。相変わらず車移動で歩かないのか。
などど毒づきながら進む。

首筋の汗が滝のようになり、荷物の取っ手が手に食い込み、
腕の感覚がなくなり、ペットボトルが空になったころ、
交差点で見覚えのある白い車が!

タクシーだ!しかも空車だ〜!!!!

運転手とバッチリ目が合い必死で手を振った。

驚いた顔で出迎えたタクシーのおじぃは、なんでこんな
中途半端なエリアから旅行者らしき人間が乗ってきたのだろう?
という顔をしていた。

なにはともあれ助かった。泣きそうだった。

クーラーの心地よい風にあたりながら気さくに話しかけてくる
おじぃにふと訊いてみた。

「今日タクシー少ないですよね…?」
「ああ。今日はね、小学校の運動会よ。みんな(運転手の同僚)
応援にいってるから休みさぁ」

「…!!!」

そうなのか。そういうことか。

親族間のつながりが強い沖縄では珍しいことではない。
お父さんお母さんはもちろん、おじいちゃんも仕事を休んで
孫の応援にいくのだ。

家族総出で応援にいくのだ!

しかし、今日は繁忙期シーズンの連休(!)
いや、おかしいと思う感覚がおかしいのだ。

家族の行事のために休むことを容認している会社もだが、
そういう雰囲気の中で生活している沖縄の人々を羨ましく思う。

家族みんなに応援してもらえる子供たちのことを
考えて少し幸せな気分になったコザの旅だった。


posted by irayoi58 at 21:23| Comment(0) | 沖縄
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